カテゴリ:ミステリ( 49 )

 

我孫子武丸 「0の殺人」

読了しました。

5日間も沈黙していたのは、これを読んでいたからで・・・(というのは半分嘘で半分本当)

シリーズ前作「8の殺人」とは別な雰囲気を感じさせた本作でしたが、速見3兄妹シリーズのお決まりシーンを入れつつ、今回も巧みな趣向を凝らしていますね。
トリックに関して、個人的には「8の殺人」ほどの衝撃はなかったですが、自分としては、「作者」と「読者」との間で「帰納的検証」もしくは「アナロジー」的な関わりを持たせることに成功しているのではないでしょうか?(具体的に話すとネタバレになってしまいそうなのでこんな分からない書き方をしていますが・・・)

さて、次は「メビウスの殺人」ですね。
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  by we_2006 | 2007-01-22 08:35 | ミステリ

二階堂黎人 「増加博士と目減卿」

読了しました。

この作品は「登場人物が、自分たちが小説の登場人物であることを知っている」というメタ・ミステリなのですが、作品自体の虚構性に言及しているというよりは、そういう「メタ・ミステリ」自体をパロディ化しているような感じですね。って、いろいろ書いていると分からなくなってきそうですが、内容自体は非常に読みやすいです。

そしてメタな設定でありながらも、作中で使われている密室トリックにはどれも舌を巻きます。私は特に、「『Y』の悲劇―『Y』がふえる」の衝撃的なトリックが印象に残っています。著者が「ロジックよりもトリック」をモットーとしている、というのも頷けますね。


他の二階堂氏の著作(特に長編)も読みたいのですが、「吸血の家」とか「悪霊の館」とか「人狼城の恐怖」とか分厚いものばかりを連想してしまい、ちょっと尻込み。ここは今しばらく、薄めの長編で肩を慣らしておくのも良いでしょう。でも、いつかは必ず読破してやるぞ!
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  by we_2006 | 2007-01-14 22:29 | ミステリ

2006年ミステリ私的ベスト10

そうです、忘れていました。1年が終わればこれができるのです。マイ・ランキング。

ということで、去年の自分なりのミステリ総括として、2006年長編ミステリ私的ベスト10と、2006年短編ミステリベスト5を発表したいと思います。

対象は2006年に読了したミステリ作品。
冊数でいうと、合計で24冊になります。(やっぱり少ない・・・)

では、まずは長編ベスト10の方から。


1位 「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」 麻耶雄嵩
・2006年上半期私的ベストで1位でしたが、そのまま2006年のトップに。論理、名探偵、世界観。すべてが圧倒的。

2位 「そして扉が閉ざされた」 岡嶋二人
・こんな本格が読みたかった・・・。1位の作品は私の理想を軽く跳び越えてしまいましたが、これは私の理想に最も近かった作品。傑作です。

3位 「ロートレック荘事件」 筒井康隆
・あの衝撃が忘れられない。前代未聞のトリック。衝撃度だけでみれば、2006年のトップ。

4位 「Xの悲劇」 エラリー・クイーン
・今の新本格と海外名作古典を同列に並べてもいいのだろうか?否、そんな疑問は不要。なぜならこれはこの私のための、ごくごく「私的」なベスト10なのだから!
今年はもっと古典を読めますように(←他力本願)

5位 「夏期限定トロピカルパフェ事件」 米澤穂信
・古典の次はいきなり新しいぞ?去年、唯一読んだ2006年初版の作品。いいじゃないか、良かったんだもん。面白かったんだもん。そしてこの無秩序さこそが「私的ベスト」の醍醐味なのだよ。

6位 「殺人喜劇の13人」 芦辺拓
・充分すぎるほどのギミック。素晴らしいプロット。ミスディレクションの凄さに圧倒されます。惜しむらくは、読み難くなるくらい誤植が多かったこと(これは著者の責任ではないのですが・・・)。それとも、文庫の初版はこれぐらいの誤植なんて普通なのでしょうか?

7位 「月光ゲーム Yの悲劇88'」 有栖川有栖
・ミステリとしても青春小説としても楽しめた作品。ロジックを重視した展開は「本格ミステリの王道」を突き進んでいてまさにクイーンの継承者!

7位 「長い家の殺人」 歌野晶午
・上半期と同じく「月光ゲーム」と同率順位。地味な印象を受けますが、不可能状況を生み出すトリックが秀逸。

9位 「しあわせの書 迷探偵ヨギ・ガンジーの心霊術」 泡坂妻夫
・何か書いたらネタバレしそうで怖い。とにかく読めば最高の驚愕が待っているはず。それしか書けません。

10位 「そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート」 はやみねかおる
・ミステリの魅力がたくさん詰まったジュブナイル。この作品を子どもの頃に読んでいたなら、もっと早くにミステリファンになっていたでしょうね。

次点 「ローウェル城の密室」 小森健太朗
・正直言うと、トリックを知ったとき、「にやり」というのを通り越して、笑ってしまいました。それぐらい意外で、ピカ一な密室トリック。でもあの時の感情は何だったのでしょう?


次は短編のベスト5。


1位 「薔薇荘殺人事件」 鮎川哲也 (「五つの時計」より)
・私はフーダニットが好きです。ガジェット満載の稚気溢れる作品が好きです。そして、「読者への挑戦」はもっと好きです。

2位 「おいしいココアの入れ方」 米澤穂信 (「春期限定いちごタルト事件」より)
・とにかくお気に入り。タイトルからしてアレですけど、とにかくお気に入り。

3位 「A MASKED BALL およびトイレのタバコさんの出現と消失」 乙一 (「天帝妖狐」より)
・最初に読んだ乙一作品。伏線の妙も見事ですが、著者独特の幻想性が目を引きます。

4位 「五つの時計」 鮎川哲也 (「五つの時計」より)
・最初に読んだ鮎川作品。鮎川哲也恐るべし!稀代のトリック・メーカーはやっぱり凄かった・・・。

5位 「シャルロットはぼくだけのもの」 米澤穂信 (「夏期限定トロピカルパフェ事件」より)
・これも秀逸な作品。推理作家協会編「ザ・ベストミステリーズ 2006」にも収録されるほど。

次点 「不思議な省略」 アイザック・アシモフ (「黒後家蜘蛛の会1」より)
・著者の博覧強記振りが十二分に活かされている作品。アシモフ、偉大なり。


以上、ごくごく私的な2006年ミステリベストでした。
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  by we_2006 | 2007-01-12 19:15 | ミステリ

芦辺拓 「殺人喜劇の13人」

読了しました。

10日かかりました。かなりのスローペース。

本作は栄えある第1回鮎川哲也賞受賞作ですが、本格ド真ん中でトリックも鮮やか。特にミスディレクションが良かったですね。後に伏線と整合してしまうのもお見事です。

そういう意味では読み応えのある作品ではありますが、同時代的な内容が多分にあって読みづらかったいうのも正直なところ。
ですが、稚気溢れる部分と妙な感傷を抱いてしまう不思議なラストを考えると、この文体も逆に著者の意図したような世界に効果的(というかむしろ必然)であったとも納得できますね。面白い世界観でした。

さて、次は何を読みましょうか・・・。
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  by we_2006 | 2006-12-04 23:44 | ミステリ

ちょっと遅いですがバトンを・・・

マイミクの灯さんのところから貰ってきました。

最近、ネタ枯渇状態が続いていたので、有難く頂戴させて頂きます。

ではさっそく。


■ルール
廻してくれた人から貰った『指定』を『 』のなかに入れて答える。

指定は『ミステリ』でした。

◆最近思う『ミステリ』

昔の作品を漁ってばかりなので、最近のミステリの動向はあまり分からないのが正直なところ。いろいろ論争等があるみたいですが・・・。

◆この『ミステリ』に感動

麻耶雄嵩「翼ある闇」かな?
まさにミステリの大伽藍ってやつですね。
最近だったら岡嶋二人の「そして扉が閉ざされた」なども。

◆直感てきな『ミステリ』

「ミステリ」という言葉に対するイメージは最初と大部変わっているのですが、今のイメージだと

もわ~ん、(その後)スラッ、もわ~ん

みたいな感じですかね。
抽象的ですか?そうですね。すいませんorz

◆好きな『ミステリ』

密室もの。論理重視。どんでん返し。ギミック満載。(結末はともかく)大風呂敷を広げているもの。

◆こんな『ミステリ』は嫌だ

実はミステリじゃなかった。

◆『ミステリ』がこの世になかったら

別ジャンルの小説に傾倒していたか、もしくは小説は読まなかったか。

◆次まわす人とワード

好きに持ってって下さいな。
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  by we_2006 | 2006-11-26 19:32 | ミステリ

鮎川哲也 「五つの時計」

読了しました。

本格の巨匠、鮎川哲也氏の短編集。創元推理文庫版。

長編の合間に読むようにしていたのですが、「合間で読む」にはあまりにも密度が濃すぎて、結局これがメインになってしまいました(笑)


いやもう満腹です。満足です。まさに「ベスト・セレクション」ですね。

特に表題作の「五つの時計」には驚愕しました。これだけ精緻で複雑なトリックを短編で成し遂げるなんて・・・。初めて読む鮎川作品がこの「五つの時計」だったということは幸福ですね。


どれも厳選された短編ばかりなのですが、気に入った作品を挙げさせてもらうならば、「五つの時計」、「道化師の檻」、「薔薇荘殺人事件」、「急行出雲」あたりです。
「薔薇荘~」は1番のお気に入りです。王道のフーダニットもので、問題編・解答編があって、といかにもな感じなのですが、それもまた好きですし(花森氏の解答も興味深い)、そのための些か大げさなギミック(「黒死館」とか「ユダの窓」とか)を入れているのも私好みなんですね。もちろんトリックも。

アリバイものに強いと言われる鮎川氏ですが、密室ものや倒叙ものの構成も鮮やか。星影龍三シリーズは良いですねー。探偵の性格と世界観は好みです。

なんか自分の嗜好があぶり出されたような感じですね。
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  by we_2006 | 2006-11-23 19:55 | ミステリ

小森健太朗 「ローウェル城の密室」

読了しました。

いやあ、久しぶりに何ともいえない微妙な気分にさせられた作品ですね(いろんな意味で)。

本作は、1982年の江戸川乱歩賞の最終候補に残ったというもの。
そして、作者の小森健太朗氏は当時16歳(応募当時は別名義)で、史上最年少での乱歩賞最終候補入りになったということと、どうやら「前代未聞」のトリックが使われているらしいということが、かなり話題をさらったそうです。

確かにトリックは「前代未聞」と言えるでしょうね。正直なところトリックに対する評価は芳しくないのもあるようですが、私は素晴らしいトリックだと思っています。

おそらく私自身の一つの傾向として、こういうある意味極北を突き進んでいくようなものを好むというのがあると思います。
まあ好きなのは好きなんですが、やはりそれと同時に、こういうのは激しく賛否が分かれるんだろうなぁ、とも感じてしまうのですね。自分が好きなんだからそれでいいっちゃいいんですが。

ただ、前半部分が少し冗長かなと。事件が起きるのが全体の3分の2を過ぎてからというものちときついですね。
でも読み終わった後で、この奇妙なテンポの前半部分も、これはこれで面白いかなと感じてしまうんです。この妙な居心地の悪さも、実は作者の企みの内なのではないかと思えてしまうくらいに。
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  by we_2006 | 2006-11-17 16:16 | ミステリ

泡坂妻夫 「しあわせの書」

読了しました。

200ページ強の薄い文庫なので一気に読めましたね。

泡坂氏の著作で読んでいるのは「乱れからくり」だけだったんですが、その印象だけで今作を読んでしまうと大きな衝撃を食らうでしょうね。実際、私は鳥肌が立ちました。それぐらい凄い。

今までに感じたことのない、爽快感みたいなものを得たように思います。この種のトリックを体験したのは初めてだったからではないかと。って詳しく書くとネタバレになっちゃいそう。

なんかこう、この作品を何気なく人に薦めて、そしてトリックに驚愕する様を見たいという邪な(?)欲望を感じるくらいです。それくらい私にとってこの作品は、衝撃度が高く、新鮮なものでした。
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  by we_2006 | 2006-10-31 18:28 | ミステリ

霞流一 「スティームタイガーの死走」

読了しました。

これが霞氏のバカミス・・・いや、動物ミステリなのですね。想像以上です。

執拗とも思えるくらい頻発に起こる不可能犯罪の数々。その密度と速度には圧倒されます。

ほとんどすべての登場人物が奇人変人。事件の現れ方も、人々の反応ももはや尋常ではありません。そして過激なギャグの連発・・・・・・。なのに、本格ミステリとして帰結しているところがすごいです。どんでん返しや意外な真相をうまく絡めています。実にお見事。

読者の好みが激しく分かれそうな感じの作品ではありますが、私は好きですね、こういうの。とにかく「動物」に拘っている所とか、過剰なまでにギミックを投入している所とか。
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  by we_2006 | 2006-10-06 16:26 | ミステリ

岡嶋二人 「そして扉が閉ざされた」

読了しました。

これは良い!
久しぶりに「話に引き込まれ」ました。

「密室に閉じ込めて真相の解明を強要させられる」という設定が面白い。
まあまず現実には起こりえない状況なのですが、その中でも緊迫した話の展開に、あっという間に読まされたという感じ。

そして衝撃度も凄かった・・・。伏線には全く気付かなかったなぁ・・・。

特異な設定を十二分に活かしきり、かつ奇抜なトリックをその中にはめ込む事に成功した作品といえると思います。読後の満足度も高かったです。

岡嶋二人氏の後期の代表作と言われるのが、「クラインの壷」、「99%の誘拐」、そして本作。
他の2作も気になるところ。
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  by we_2006 | 2006-10-02 00:00 | ミステリ

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