鯨統一郎 「喜劇ひく悲奇劇」

これも1月に読了。


泡坂妻夫の「喜劇悲奇劇」へのオマージュとして書かれた回文ミステリーです。

「全篇回文づくし」という売り文句のとおり、タイトル・章題・名前・地名・台詞・地の文章などなど、様々なところに回文が頻出しています。それを見ているだけでも楽しいですね。

自分はまだ未読ですが、オマージュの元となった「喜劇悲奇劇」も併せて読むのも一興かもしれません。


内容はというと、


合宿中の回文愛好家サークル「回文こんぶイカ」のメンバー達が、陸の孤島と化した「高山館」で連続殺人に見舞われる…


と、まあ言わば「クローズドサークル」ものなのですが、凄まじいのは、回文密室、回文アリバイ、回文見立て殺人など、事件が何でも回文に結び付けられているところです(ちょっと強引なのもありますが…)

そしてなぜか中盤ではこれまでの脈絡に関係なく、古今東西の名探偵の名前を含んだ回文を50連発させるなど、とにかく回文作りの執念さにおいては、鯨統一郎らしさが前面に出ていますね。

ここまで回文が入り乱れているのに、解決編で整合性がとれていないかといったらそうでもなく、構造としては案外普通のミステリーであったりします。まあそれは回文に重きを置いているが故だとも言えそうです。

ミステリとしての重厚さという点ではちょっと難ありですが、回文を楽しめて、且つすらすらと軽く読める楽しい作品ではあります。


ちなみに同氏の著作「文章魔界道」では、文豪・ミステリー作家の名前を含んだ回文を連発させるといった「言葉遊び」も披露されています。
[PR]

  by we_2006 | 2009-11-04 14:28 | ミステリ

<< 鯨統一郎 「パラドックス学園」 鯨統一郎 「文章魔界道」 >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE