鯨統一郎 「文章魔界道」

今年の1月の読了。
って、もう今年も終わりに近いんですが。

鯨統一郎作品で読んだのは「ミステリアス学園」以来で、今回が2作目。

前回の「ミステリアス学園」は、あまりにもアレがアレでアレなもんで、まあアレだったわけですが(って「アレ」ばっかりですが)、そのときの感想はこちらにありますので、お暇な方は見てくださいまし。


で、今回の「文章魔界道」。

この作品は2002年刊の祥伝社文庫。

この時期にかけて祥伝社は文庫創刊15周年記念の企画で、多くの作家に150枚程度の中編を書き下ろしで依頼し、それをお手軽な「400円文庫」として売り出す、というものをやっていました。

ラインナップには、その分量の少なさからなのか、ちょっともの足りないものも含まれていましたが、恩田陸「puzzle」、若竹七海「クール・キャンデー」などの佳品もありましたし、「まほろ市の殺人」では我孫子武丸・有栖川有栖・倉知淳・麻耶雄嵩という豪華な面々が揃っての競作となりました。

そして、本書「文章魔界道」もその企画による1冊。


一応ジャンルは「ミステリー」となってます。

が、これがミステリーなのか、という疑問符がついたまま、ゆるいギャグ炸裂の鯨ワールドへ連れて行かれ、そしたら清涼院流水もびっくりの執拗なまでの言葉遊びが始まり、作者はいい加減に書いているのか、それとも大真面目に書いているのかが分からなくなってくる、という按配。


言語をいじっていじっていじり倒す。その執拗さはある意味バカミスにも通じるところがあるかもしれません。

とにかく、この作品で作者は言葉遊びを「真剣」にやって見せています。ここで披露されている言葉遊びの「センス」はおそらく鯨統一郎しか持ち得ない。これは、誰も真似のできない(というか誰もやらない)ある種の「技巧」ともいえるでしょう。


まあ、言ってしまえば「おバカ」な小説なのですが、その「おバカ」な小説にも(おそらく)心血注いで書き上げた鯨統一郎は、だからこそ鯨統一郎なのだと、そう思わせられるといえばそうかもしれない。あ、でも、そうじゃないかもしれない。

まあ、そんな作品でした(笑)
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  by we_2006 | 2009-11-03 13:01 | ミステリ

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